外資系マネージャーの独り言

日本で外資系企業のソフトウェアエンジニアマネージャーをやってる人のブログです

ニューカマー定住ハンドブック

英語と日本語の対訳付きの、外国人として日本に住むためのガイドブック。 

ビザの取得から仕事の探し方、クレジットカードが作りづらいこと、ビジネスの立ち上げ方、警察とのうまい付き合い方、結婚する際の手続き、子供の親権に関する話(これは比較的最近ルールが変わって日本に連れ帰られた子供を取り戻す手立てが生まれつつある)…といったディープなネタまで網羅的に説明されていて、日本のことを知らない外国人が日本に住むにあたって有用な情報がよくまとまっている。

国外にいる外国人が日本で社員として働き始める場合、Certificate of Eligibility(CoE=在留資格認定証明所)を会社が発行して、それを国外の日本大使館や領事館に持っていくとVISAを発行してもらえるので、これらをもって日本に入国しようとすると(入国管理局)、Status Of Residence(SOR=在留資格)をパスポート記載してもらえる。さらに、90日を超える滞在の場合は市役所等に行ってAlian Registration Card(ARC=外国人登録証明書)の発行が必須で、ARCは常に携帯する必要がある(これを持たずにトラブルに巻き込まれて、国外退去とかになった話を聞いたことがある)。また、永住権や日本国籍を持たない外国人が出張や帰省などで日本国外に出る場合、Re-Entry Permit(再入国許可)を入国管理局で発行してもらう必要があり、これを怠って国外に出るとSORが無効となってしまうのが注意が必要。

SORの種類は多数あるものの、いずれも日本国内の行動に何らかの制限がかかるため(滞在日数、特定の仕事のみへの従事、などなど)、もし日本に長期的に住むということであれば、日本に帰化している著者のおすすめはなるべく早いタイミングで永住権を取ってしまうこと。日本では、外国人が銀行口座を作るのが難しかったり、クレジットカードの発行が制限されていたり、住宅ローンを有利な条件で借りれなかったり、仕事を失うと同時に国外に出る必要があったり...とあれこれ制限が多く、永住権所有者でも外国人登録証明書が義務付けられているようだ。

2008年の本なので情報がやや古く、ビザにまつわる状況は結構スピーディに変わっているけれど、過去の事例などから賃貸住宅の貸主や、銀行などにおける外国人に対する制約・制限が明文化されない状態で野放しにされている状況に関してはあまり変わりがなく、そのあたりは今後変わっていかないといけないのかなと思う。

会社などで周りに外国人が多く、非日本人の日本でのQOLを考える上でいろいろとよいヒントが含まれていると同時に、自分が外国人という立場でどこかの国で住むことを考えた時に、どういった難しさに出会うのかといったことを想像する上でも役に立つ本だなと感じた。