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外資系マネージャーの独り言

日本で外資系企業のソフトウェアエンジニアマネージャーをやってる人のブログです

Compensation planning

アメリカ英語では会社からもらう報酬のことをCompensationと呼びます。一般的に'償い'とか'埋め合わせ'の意味なので、初めて聞いた時は不思議に思いました。イギリス英語だとIncomeとかSalaryでしょうか。

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テック企業だと一般的なのは、

  • Base Salary (年俸)
  • Cash Bonus (現金支給のボーナス)
  • Stock (RSUなどの株)
  • Signing Bonus (入社時のボーナス)
  • 401K (確定供出年金)

といった諸特典を組み合わせたものを"Total Compensation Package"として従業員に提示するスタイルです。毎月もらう給料はBase Salaryを12で割ったもので、Cash Bonusは特定のタイミングで一括で支払われるので、会社から定期的にもらう給与で主に意識するのはBase Salaryになります。

新しく会社に入るタイミングでは、入社を促す意味と、当面はまだストックがVestされない状況を加味して、Signing Bonusといった形で毎月もらう給料を増やしてくれることが多いです。はじめの1年ないしは2年にわたってもらえるような設計が一般的ですが、もしその期間中にプロモーションしたら(一般的に給与はググッと上がるので)Signing Bonusはキャンセルされます...みたいな条件がつくこともあります。一部の外資系だと、「Signing Bonusが出るうちに大きな結果を出してプロモーション受けるよね普通」的なプレッシャーがあると聞いたこともあります。

会社によってタイミングは異なりますが、1年に1回か2回はCompensationが更新される機会があり、現在のポジション、個人のパフォーマンス、チームのパフォーマンス、それに従業員の将来性といったことを加味して新しいCompensationが決定されます。会社員であれば、自然な感情として自分の仕事がどれだけ会社から評価されているのか、自分が大事にされているかの指標としてCompensationを捉えがちなので、マネージャーとして部下にCompensationをコミュニケーションする際にはとてもセンシティブな態度が要求されます。例えば現職ではこのコミュニケーションを行うためのマネージャー専用のトレーニングがあり、さらには「よく聞かれる質問」といった形で会社のポリシーを説明する方法が入念に解説されていたりします。

当然ながらマネージャーは部下の成長と成功に対して責任があるので、日々の仕事、評価、それに給与については一貫した姿勢で臨む必要があるわけですが、やはりCompensationは生々しい話になってしまうので、部下と日頃からどれだけ信頼関係を築けていたとしても、多少の緊張は強いられるものでしょう。

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Compensationの決定方法については各社それぞれに異なるポリシーや考え方があるようですが、一貫しているのはHigh Performerに対してはきちんとRewardしますよ、という姿勢でしょうか。毎年ジョブポジションに見合ったパフォーマンスを発揮しているか、という観点から評価が下されますが、それとある程度リンクした形で新しいCompensationを決めるためのPlanningが行われ、マネージャーの判断を基準に最終的なCompensationの内容が確定します。

前職が日本企業だったので、360度評価を基準にした人事評価制度とかなんとか言いながらも新入社員時代からなんとなーく年功序列的に給料が上がって(もちろん努力や成果も評価や報酬に影響を与えるが、そこまで明確な変化にならない)、個人の頑張りはあんまり関係なしにほぼ会社の業績のみに依存した形でボーナスをもらって…という世界観に慣れ親しんでいましたが、この仕組みは個人的にアンフェアだと思っています。例えばですが、まだ比較的若い社員が小さなチームの一員として会社の将来にインパクトを与えるような仕事を手がけて結果を残したといった場合(典型的な日本企業だとその状況になることがそもそも珍しいわけですが)、その成果に対して報酬を与える…ということは日本企業の人事制度では難しいように感じます。

まぁ、日本的な「フェアネス」というのは、客観的に見て個々人が対等に扱われているかということよりも、周りの人たちが納得するかどうかという感情論的な意味合いが強いので、そういうもんだと理解してはいましたが、やはり自分はその世界観には完全には馴染めなかったようです。