外資系マネージャーの独り言

日本で外資系企業のソフトウェアエンジニアマネージャーをやってる人のブログです

10年前の日記から (会社で学んだこと)

会社の仕事をある程度経験して、会社に入ったらやりたいと思っていた大きな仕事を運良く担当させてもらい、無事にプロジェクトを終えてひと段落したあたりに書いた日記が面白かったので、書き出してみます。

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  • 何かを作り上げることはよい。それは必ず自分の経験になるし、後々役に立つことが多い。「ものを作る」プロセスを全て体験できるので、最後まで作り上げることが望ましい。
  • 「とりあえずやってみる」という姿勢は常に重要。「よく分からないけど試しにやってみたらなんとかなった」という経験は「やればできる」という頼りになる信念を与えてくれるし、うまくいかなければそれはそれでよい経験になる。
  • ミーティングは悪だ。アイディアを共有するのであれば今ある情報技術(電話、E-mail、Wiki)を駆使すればいいし、議論するのでも同じことだ。もちろん、用件が複雑で意識のズレが多そうな場合には実際に会うことが望ましいが、物理的に離れていないのであれば立ち話で済む。
  • 何か大事なものを評価するときは、絶対に自分で確認する癖をつけたほうがよい。結局、何らかの判断を下す上で信頼できるのは自分だけなのだ。
  • 「何かがおかしいな」と思ったときは、その場の空気を乱してでも自分なりにその何かを追っかけてみるべき。当然、このおかしさに気づくにはセンスも経験もいるが、一番必要なのは「言い出す勇気」。
  • 「組織の一部」としてしか機能できない人間からは、常に距離を置くべき。こういう人はどの組織にも存在するが、何事においてもまず政治的にものを動かそうとする上に無能で、さらには自己顕示欲が強かったりして、関わるとろくでもないことになる。
  • 常に自分が何をすべきか、を意識して仕事をすべき。何を目指しているかが念頭にあれば、あとは方法を選んで粛々と作り上げる作業に専念できるし、作業中も方向がブレることが少ない。
  • 何事においても、必要最低限のミニマムな構成を心がけたほうがよい。人が多すぎると目的がブレたり意思伝達が遅くなったりする。ただし、逆に人(または資本)が少なすぎると目的が達成できなくなる恐れがある。
  • 仕事とは何かを作り上げるプロセスに関わることで、企業はお金を払うことで優秀(であるべき)な人の注意をその「プロセス」に向けることでいろんなものを作り上げる。世界に素晴らしいアイディアが満ち溢れているにも関わらず、それを実行する人がいないのは、つまるところ人は怠け者で、面白いことができると分かっていてもお尻をたたかれないと実行しないってことだ。
  • 「何かを作り上げる」プロセスが簡単になればなるほど、素晴らしいアイディアが世の中に出てくるチャンスが増える。このプロセスを簡単にすることこそが、今の時代に一番求められていることなのだろうと思う。
  • 組織とは、何かを作り上げるプロセスを発生させる舞台装置のようなものだ。責任や権限を与え、当事者意識を持たせてモチベーションを上げることこそが会社の組織としての役割であるべきだ。
  • 組織が大きくなるのは悪だ。無駄に活動範囲を広げて既得権利なりノウハウを独り占めにする時代は終わりつつある。全員が当事者意識を持って、最短距離で目的にたどり着けるような環境を提供することこそが組織の存在意義になる。

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20代の若造が、生意気なことを書いてるなーと思うけど、自分の仕事に関する考え方はこの頃にかなり確立していたのだなと改めて感じる。経験不足なソフトウェアエンジニアながら、かなり高いモチベーションをもって臨んだプロジェクトで、本当にたくさんのことを学ばせてもらったと同時に、大きく成長することができた時期だったなーと今にして思う。

今はマネージャーとして当時とは少し異なる角度から仕事をすることが増えてきていて、仕事のあり方についてチームのメンバーと議論することも多くなっているから、何年か後になった時にこの経験の積み重ねが自分の仕事観に変化を及ぼすこともあるかもしれませんね。楽しみ!