外資系マネージャーの独り言

日本で外資系企業のソフトウェアエンジニアマネージャーをやってる人のブログです

人工知能は21世紀の電気になるのか

大学の講義をオンラインで公開しているCourseraに、Courseraの共同創始者でもあるAndrew Ngさんが新しく始めたdeeplearning.ai提供のDeep Learningのコースが登場してます。

www.coursera.org

個人的に仕事で直接Machine Learning(機械学習)を使うことはないのですが、これからの時代のソフトウェアエンジニアが避けては通れないであろう技術として注目していて、Coursera初期から提供されているAndrew NgさんのMachine Learningのコース(使ってる技術はちょっと古いけど、基礎的な考え方を掴むにはおすすめ)を取ってみたり、個人プロジェクトにNeural Network/Deep Learningの技術を取り込んでみたり、とそれなりにキャッチアップしているつもりです。

前の職場は組みこみ系システムかつクライアント側の実装がメインだったので、分散システムだとか大きなデータセットを相手にすることはなかったのですが、現職では周りのチームにその手の技術のエキスパートが多く、今後ますます増えていくであろうデータやシステムの複雑度を考えると、いずれはシステムの肝になるようなロジックは機械学習的なアプローチによって常にフィードバックがかけられ続けていくようなものにならざるを得なくなるのだろうな…なんて思っています。

そんなわけで、新しいDeep Learningのコースもちょっと始めてみたのですが、このコースに関しては有料($49/month)なので、続きは忙しくない時期にまとめて受講するために今は一旦ストップ。

www.gsb.stanford.edu

で、講義の中でAndrewさんが主張していたのが、"Artificial Intelligence (人工知能)は電気と同じような影響を(社会や産業に)与える"というもので、なるほどねーと思ったので自分の考えを書いてみます。

ここでいう"電気と同じような影響"というのは、社会のインフラとして電気がくまなく行き渡り、蓄電池等の技術も発展することで、電化製品が人々の手に渡ってあらゆる面で生活が便利&豊かになったことを指していますが、人工知能絡みの技術は電気と同じように社会のインフラの要素技術となっていくだろう、というのが彼の主張です。

"人工知能"と言ってしまうとちょっとざっくりしてしまいますが、Deep Learningに代表される機械学習ベースの技術の猛スピードな発展と、それを現実社会の問題に適用していくペースが劇的に早まっていくことによって、世間一般的に"人工知能"と呼ばれているものが上記のように大きなインパクトを社会に与える…というのはすでに起き始めていることだと感じます。

と同時に、上の記事で書かれているように、

  1. まだまだデータが足りていないこと
  2. 技術を活用出来る人材が足りていないこと

という大きな問題があって、これらを根本的なレベルで解決していかないと人工知能関連の技術の社会への浸透は進まず、電気のような社会の根幹的な技術にはなりえない、という点についてもその通りだなと思います。

実際にMachine Learning/Deep Learningの技術を自分で触ってみて感じることとして、まずそこにある問題にどうアプローチし得るかを判断できること、それにデータを集めてきて適切な形で問題にアプローチすること…という意味において、人工知能の研究者や技術の枠組みを知っている人材ではなく、その"問題"について精通していると同時に必要な技術を正しく使いこなせる人材が圧倒的に不足していて、これからの数年間はそういった人材をたくさん作り出すことがdeeplearning.aiプロジェクトの目論見なのだろうなと感じています。