外資系マネージャーの独り言

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GRIT やり抜く力 - アンジェラ・ダックワース

「目標を達成できる人と、達成できない人の違いはどこから来るのか」…という研究から、「やり抜く力」(GRIT)という答えを導き出した著者による本。

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

 

「やり抜く力」は「情熱」と「粘り強さ」のふたつの要素からなり、これが強ければ強い人ほど目標を達成できる可能性が高い、と著者は説く。また、本で強調されているのは、「やり抜く力」と「才能」は無関係であり、豊かな「才能」はスキルを向上させる際に役には経つものの、最終的にスキルを活かして目標を達成するにあたっては「やり抜く力」が決定的に必要になる、ということ。

自分も子供の頃は「才能がなければ何やっても無駄」と思いがちだったけど、より長期的に取り組まないと達成できない課題と向き合うようになってから、ちょっとやそっとの才能を持っていることよりも、継続的に努力を持続するための「興味」や「達成感」といった取り組み方や、仕組みが遥かに重要であることがハッキリと見えてきたなと感じていて、この本の主張はしっくりくる。 

前に著者のTEDのビデオを前に見たことがあったので、なんとなく聞いたことのある主張だなーとは思ったけど、本に書かれた主張や実例を読むことで得るところは多かった。

本には個人の「やり抜く力」を示すグリット・スケール(2.5-5)を測るための質問があって、これに答えていくことで簡単に「やり抜く力」を知ることができる。自分のスケールは4.1だったので、それなりにやり抜く力はあるということらしいけど、割と飽きっぽい性格なのと、本当に興味を強く持った狭い目標にしかコミットしない性格なので、そのあたりは改善の余地がありなのだろうと思う。

本の中で繰り返し語られているのは、「やり抜く力」は後天的に身につくものであり大人になってからも向上することができる、ということ。これって「小さな目標を立てて、努力して達成して、その繰り返しで大きな目標にたどり着く」プロセスでもって多くの成功体験を得ることの重要性なのだろうなと個人的に感じていて、成果の大小を問わず何らかの分野で「成功してる人」は例外なしにこのプロセスを内在的に発動させて継続することが自然とできているように思う。

「やり抜く力」を身につける上で大事なことは、「意図的な練習」(Specific/Targeted Training)と、「フィードバック」(結果ではなく努力に対する報酬)、そして何よりも「最後までやり通す」ことが大切だと言うけれど、この点についても強く共感できる。

自分の子どもに教えることができるとしたら、最も時間をかけて、確実に伝えておきたい力だと思う。長い人生では、単純な「何かを得た」という結果だけよりも、「何かを得るプロセスを知っている・実行できる」ことのほうが遥かに価値がある。

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もしあなたが自分の子どもの「やり抜く力」を引き出したいなら、まず、「自分が人生の目標に対してどれくらいの情熱と粘り強さをもって取り組んでいるか」、つぎに、「子どもが自分を手本にしたくなるような育て方をしていると思うか」、考えてみよう。(P.289)