外資系マネージャーの独り言

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国をまたいだ時のRSUの所得税について

ちょっとマニアックなRSUネタ。

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RSUはGrant(権利付与)されてから複数年かけてVest(株式付与)されるのが一般的ですが、仮に日本で働いていたAさんがRSUをGrantされてからRSUの権利を保持したまま国外に転出した場合、GrantからVestまでの間の居住国の割合に応じてVestされたRSUの所得税を支払う必要があります。

これはどういうことかと言うと、RSUはGrantからVestまでのタイミングまでの労働に対する対価という意味で解釈されて(?)給与所得としてカウントされるため、Vestのタイミングで国外に転出済みであったとしても、Grantから転出日までの間の分のRSUによる給与所得については国内源泉所得という形で払ってもらいますよ、ということ。

blog.issei.org

詳細については上のブログが詳しいです。

なお、転出先の国におけるRSUのVest分については、転出日からVest日までの期間分に相当する所得税の支払い義務が生じる点についても注意が必要。仮に2年後にVestされるRSUを10株もらったとして、もしGrantのちょうど1年後に国外に転出(あるいはその逆)した場合、5株分の所得税を移動元の国と移動先の国に支払うことになります。

2国間をまたいで異動したケースで、XをVestされるRSUの分量、TgをGrantのタイミング、Trを転出(relocation)のタイミング、TvがVestされたタイミングとすると、

  • 転出前の国に払う所得税 = X*(Tr-Tg)/(Tv-Tg)
  • 転出後の国に払う所得税 = X*(Tv-Tr)/(Tv-Tg)

ということになるわけです。3国間をまたいだ場合にも似たようなことになるわけですが、あんまり考えたくないですね…。

詳しいルールは国同士の取り決めなどにもよるので、個々のケースについては税務署や税理士さんに相談した方がよいですが、移動元の国でも税金を収められるようにある程度キャッシュを残しておかないと税金支払いが大変なことになるので注意、ということになります。