外資系マネージャーの独り言

日本で外資系企業のソフトウェアエンジニアマネージャーをやってる人のブログです

実質GDPの比較

ふと面白いグラフがあったので、自分にとって縁のある国について思ったことをつらつらと書いてみます。なお、実質GDPとは、物価の変動による影響を取り除いたその年に生産された財の総計で、任意の国の経済活動の指標になります。

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まずは日本。自分は日本で生まれた日本人で、今も日本で生活してます。 実質GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

お次はタイ。子供の頃に住んでいて、今でもたまに遊びに行きます。 実質GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

ついでオーストラリア。縁あって、友人が多数います。実質GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

イギリス。高校・大学時代を過ごしました。 今でも友人が多数住んでます。

実質GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

最後にアメリカ。一時期西海岸に住んでいて、今の職場のHQはアメリカにあります。

 実質GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

上のグラフは1980年からはじまっているので、ちょうどこれから20年30年という自分が仕事をして稼いでいくであろう時間軸との比較で考えやすくてよいですね。 日本やイギリス、アメリカといった成長が鈍化している先進国は過去30年強で実質GDPが約2倍程度になっているのに対して、オーストラリアは3倍、タイは5倍以上になっている…ということになります。また、実質GDPは物価の変動を加味して計算していますが、物価の変動を考慮しない名目GDPで考えると、オーストラリアは約10倍、タイは約18倍という驚異的な伸びを見せています(日本は約2倍、イギリス約7倍、アメリカ約6倍)。

どうして日本がここまでほかの国と異なるデータを出すことになったか…というと、さまざまな理由が挙げられそうですが、自分が思いつくのは以下のような点でしょうか。 

  1. 新しい価値の創造&それを高く売ることに失敗してきた
  2. 新しい労働力の獲得に失敗してきた
  3. 国内経済の効率化(人件費の削除・サービスの効率化(=経済成長に寄与しない))に邁進してきた

1.は会社や個人が野心的なチャレンジを繰り返して成功を収めることが少なかったのが原因でしょう。2.は少子化の影響もありますが、それ以上に日本の文化的・社会的閉鎖性によるところが大きいように思います。3.は、経済成長が頭打ちになる中で日本人が何をしたかということで、もっと怠惰な国民性の国であれば「やってられるか!」と投げ出すような状況でも、日本人はクソ真面目に仕事に取り組み続けてきた…ということなのだと自分は解釈しています。

たとえばアメリカは、今でも新しい(優秀な)労働力を海外から大量に調達し、新たな付加価値を創造し、それを世界中で売ることに成功しています。これは、世界的に有名な大学があり、世界的に大きな影響力を持ち、自由を尊重するイノベーションの文化があり、優れた人を引きつける事ができるのが勝因でしょう。

オーストラリアはもともとこれといった産業のない国でしたが、継続的に新しい移民を受け入れて、資源ブームに乗っかり、安定的に国を発展し続けることに成功してきたのだと理解しています。新しい価値を自力で作り上げたとか、国民が一丸となってハードワークしてきたという印象はありませんが(失礼?)、移民政策にせよ経済政策にせよ、人口・経済規模が比較的少ない国家のメリットを生かして、小回りのきく政策で賢い選択をしてきたように思います。

タイはもともと物価の安い途上国の中では安定した政権があり、(比較的)民主的な運営がなされてきた点と、海外のものを受け入れやすい国民性といった様々な要素が交じり合って、東南アジアの優等生というポジションを維持し続けているように思います。経済レベルの上昇に伴って物価や人件費は上がり続けていますが、それでもまだ先進国に比べれば物価は安いので、当面は同じような成長が期待できるのではないかと予想できます(ただし、国情の安定についてはやや懸念が残りますが…)。

イギリスは持ち前の島国根性を発揮してユーロを導入することなくやってきて、挙げ句の果てにEUからの離脱まで決めましたが、強い金融セクターとアメリカとの深い繋がりによって一定レベルの安定的な成長を続けてこれたのかなと思います。例えば、お隣のアイルランドは大胆な税制で世界中から企業を呼び込むことに成功していたりしますし、国を栄えさせるためにどうすればよいのか…ということをスマートに考えて実行してきたのでしょう。

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日本はバブル崩壊後の20年+を経て再び経済成長を目指すという路線で国民のコンセンサスが取れつつあるように思いますが、減っていく労働人口とハイコンテクスト文化でありつづけることのコスト、それに社会のあちこちに存在している歪みにどう対処していけるかで国の未来が決まってくるのではないでしょうか。今の日本は高いサービスレベルと商品レベルと安全性と利便性を(先進国比では)格安で受けることができる国だと感じていて、(東京の暮らしに極度のストレスを抱かない)職場の周りの欧米人も同意見のようです。

問題は、どこかに歪みを残し続けた居心地の良さに甘えてしまうことと、国家全体として明るい未来が描けていないモヤモヤ感が個人レベルに悪影響を及ぼしているところなのかなと思います。

個人的には、「どこに行っても生きていけるぜ」というスタンスは崩さず、住みやすい国、仕事がしやすい国、稼げる国に、必要に応じて移り住むようなライフスタイルでいきたいと考えていますが、家族が一緒となると制約もありますし、ある程度戦略的に考えておいて、あとは出たとこ勝負でやっていくしかないのでしょうね。

在宅勤務(WFH)の落とし穴

現職では在宅勤務(Work From Home=WFH)の制度・仕組みが充実していて、ある程度自由に家から仕事ができる環境が整っています。

会社のラップトップをネットに繋げてさえいれば、世界のどこにいてもVPNで社内のネットワークに繋いで仕事ができるので、実に便利な世の中になったものだと思うと同時にWFH特有の問題もあり、色々と思うことがあるので、ここでは自分がWFHに関して思っていることをつらつらと書いてみようと思います。

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はじめに

はじめまして。

ブログを始めるにあたって、まずは簡単な自己紹介からはじめます。 

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著者は、日本の会社でソフトウェアエンジニアとして10年前後やってきた後、アメリカのIT企業に転職して3年ほどエンジニアとして経験を積み、同じチームのマネージャーとしてソフトウェア開発に携わっています。

東京のオフィスには様々なチームに所属するエンジニアがいますが、大多数(90%以上)は外国人で、仕事のコミュニケーションは英語。特に自分のチームは主にアメリカのチームとの仕事が多いので、日本の他のチームとの協業も少なく、ある意味どこにいても仕事ができる環境なのかなと思います。実際、在宅勤務の制度や仕組みはよく整っていて、例えば著者の場合は週に出社するのは2回か3回というペース。これは、この仕組みがあること前提で、あえて都内から離れた海の近くに住んでいるということも大きいかもしれません。

現職での給与水準は、日本の首都圏で普通に暮らしている限りにおいてはとても恵まれていると思っていて、会社の株をRSUという形で付与されていることもあり、着実に金融資産を増やすこともできています。と同時に、近い将来の日本では一定レベル以上稼いでいる層の税負担が大きくなってくる印象がありますし、お金とは賢く付き合っていきたいと思っているので、投資や税金に関するネタもちょくちょく書いていくことになるでしょう。

家族構成は、専業主婦の妻と未就学児1人の3人家族。妻はもともと専門職をやっていましたが、諸事情あって子供が生まれる前に仕事をやめており、いずれまた何らかの形で仕事を再開することになるのかなと思っています。

著者は子供の頃から英語圏を含む海外生活が長かったのですが、大学卒業後はずっと日本にいますが、いずれよい機会があればまたどこか別の国に住むのも面白いかなと考えています。そういう意味で今の会社は理想的で、社内での国をまたいだ異動の制度も整っていますし、ソフトウェア開発に関わるポジションであればどこの国でも人は募集しているので、移る意思さえあれば一定レベルの自由があると言えます。

グローバルな外資系IT企業で、ソフトウェアエンジニアとして仕事をこなしていくこと、マネージャーとして、チームとして成果を出していくこと。日本語でこういった環境・経験について書かれている記事は少なく、自分なりに思うことをまとめてみるよい機会だと考えてブログを始めることにしました。