外資系マネージャーの独り言

日本で外資系企業のソフトウェアエンジニアマネージャーをやってる人のブログです

Rの思い出

今の職場にジョインした際、自分のチームは東京のオフィスに1人だけだったので(母体のチームは西海岸)、隣のチームのメンバーに色々教えてもらうことが多かった。その中でも、経験豊富なエンジニアであり、強烈な個性の持ち主でもあるRはとても印象的で、世の中いろんな人間がいるなーということを痛感させられたので、彼との思い出を書いてみる。

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Rは中央ヨーロッパの某国出身で、ダブリンのオフィスでソフトウェアエンジニアとして働いていて、その後東京のチームの結成時に東京に移り住んだ。プライベートでは一切コンピューターをいじらないという、(フルタイムのオタクが多い)エンジニアの中では変わり種で、その代わりに仕事となると高いプロ意識でみなに信頼されていた。自分が会社に入って初めてある程度まとまったコードレビューをお願いした際、よい意味で厳しい駄目出しをしてくれて、その中身が実に的確&明快で感心した覚えがある。

Rは都内のやや不便な場所に住んでいて(最寄りの駅まで20分)、オフィスまでは30分くらいかけて自転車で通っていた。寒い国の出身なので蒸し暑い日本の夏は大嫌いで、冬でも薄着で全く寒くなさそうにしていて、冬が近づいてきてRの服装がTシャツ短パンからTシャツハーフパンツorジャージに変わると、「寒くなってきたなぁ」と季節感を感じたりしていた。

Rは徹底的な倹約家で、着ている服は疲れ気味だし、10年近く毎日のように酷使してきたという自転車もボロボロだったけど、ものを大切にしている姿勢にはとても共感できるものがあった。会社にはかなり長く在籍していたので(大きく値上がりした)会社のストックも保有していただろうし、日本の平均的な勤め人に比べればはるかに大きな報酬をもらっていたはずだけど、ちょっとした贅沢ということも一切せず、どこかに遊びに行く時も友だちの家に泊まったり、その間にAirBnB的な仕組みで家を貸してたり...と、抜かりのない倹約ぶりに舌を巻いたものだった。

Rには同国出身の奥さんがいて、40代のうちにアーリーリタイアしてポルトガルあたり にでも家を買って、二人でのんびり暮らすんだ…とよく言っていた。確かに彼の倹約っぷりとライフスタイルであれば、その人生計画も十分に実現可能だろうと思う。

そんなRにみなが惹かれていたのは、なんといっても彼の明るくポジティブで開けっぴろげな性格と、なんでも好奇心を持って聞いてくる会話力だったんじゃないかと思う。若い頃からヨーロッパを自由に旅したり(無賃乗車を繰り返してフランス横断とか)、大人になってからも故郷を離れてあっちこっちの国で暮らしてきた彼は雑学も経験も豊富で、おしゃべりしていてとても楽しい相手だった。

そんなRも某大陸で別のチームの立ち上げに参加するために東京のチームを去ってしまい、普段から馬鹿話をするようなこともなくなってしまった。残念である。某大陸の某都市に遊びに行くことがあれば、またRと会いたいものだと思っている。